【ニューヨーク=宮本岳則】米イラン関係の一段の緊迫を受け、市場参加者がリスク回避の行動に出た。3日の米国市場では史上最高値圏にあるダウ工業株30種平均が一時、前日比350ドル安まで売られた。一方、安全資産とされる金が買われ、約4カ月ぶりの高値をつけた。投資家は積極的なリスク選好姿勢から一転、中東情勢の行方を見極めようとしている。
米軍によるイラン司令官攻撃は、マーケットの雰囲気を変えた。3日の欧州株式市場はほぼ全面安の展開となり、代表的な株価指数「ユーロストックス50」は前日比1%近い下げをみせた。世界的な景気底入れ期待で、同指数は2015年4月以来の高値圏にあるが、この日は様子見ムードが強まった。米国市場も欧州株の流れを引き継ぎ、ダウ平均は3日ぶり反落で始まった。
安定供給への懸念から原油先物価格は急伸した。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では3日、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近2月物が前日比5%高い1バレル64ドル・09セントまで上昇し、19年4月以来の高値をつける場面があった。米プライス・フューチャー・グループのダニエル・フリン氏は「(中東情勢緊迫による)価格変動リスクを織り込む動き」と指摘した。
一方、安全資産には資金が流入した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は取引の中心である2月物が一時1.7%高となり、約4カ月ぶりの高値水準をつけた。米国債も買われ、米長期金利は一時、1.8%台を下回り、12月中旬以来の水準まで低下した。外国為替市場ではドルを売って円を買うリスク回避の動きが広がった。円相場は1ドル=107円台で推移し、約2カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。
もっともリスク回避の動きが一巡すると、相場は膠着状態になった。製造業の景況感悪化を示す指標が出たにもかかわらず、米国株相場は反応薄でダウ平均は徐々に下げ幅を縮める展開となった。市場では「今回の攻撃が中東全体の緊迫につながるのか不透明で、イランの出方を見守りたい」(米プルデンシャル・ファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との声が出ていた。しばらくはニュースの見出しに一喜一憂する不安定な展開が予想される。
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中東緊迫で市場身構え 欧米株安、金は4カ月ぶり高値 - 日本経済新聞
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