西武新宿線・久米川駅から歩いて7分ほどのマンション1階にあるベーカリー「MAU PAN」。「東村山市立八坂小学校」を目指すと、難なくお店の前に到着します。
逆さになった馬のロゴが目印の「MAU PAN」は、国産小麦を使った「毎日食べられる食事パン」を提供するベーカリー。
店内のショーケースには、水を加えず牛乳と北海道産の小麦でつくった「まうパン」(1,200円)、サンドイッチに合う「チャバタバゲット」(300円)、水分量が多く、もちもちした食感が特徴の「ロデヴ」(700円)など、常時20〜25種類ほどのパンが並びます。
店主の馬場裕樹さんがこのお店をオープンしたのは、2019年9月のこと。6年ほど借り手のいなかった築40年の中古物件をリノベーションして、今のお店の形へと生まれ変わらせました。
コンクリートと木、白い壁を使った「MAU PAN」のリノベーションを手がけたのは、「みんなの部屋」にもご出演いただいた一級建築士の飯塚啓吾さん。
実は、店主の馬場さんは、飯塚さんのご自宅の目の前に住んでいらっしゃるご近所さんなのです。
取材に伺った当日も、休業日であるにも関わらずひっきりなしにお客様が訪れていた「MAU PAN」。
地域の人たちに愛されるベーカリーを立ち上げた背景には、どのようなストーリーがあったのでしょうか?
リノベーションするに至った経緯は?
「前職でお菓子やパンをつくっていたのですが、今から2年ほど前に、『独立してお店を出そう』と決めました。
私も妻も東村山出身なので、『お店を出すなら慣れ親しんだところに』と、東村山で物件を探し始めたんです」(馬場さん)
そして半年ほど経って出会ったのが、この物件。「レトロマンションといった雰囲気の外観が気に入った」と馬場さんは言います。
1階は3軒分のテナントスペースになっていて、当時そのうちの1軒が掃除屋さん、他2軒は空いていたそうです。
「空いていた2軒のうち、1軒はスケルトン、もう1軒は飲食店だった跡地でした。
自分の好きなようにできるスケルトンを借りるか、知人から『解体している間に使えるものも出てくる』と聞いていた跡地を借りるか迷ったのですが、大家さんから『スケルトンは水道工事が必要。でもいつ工事ができるか分からない』と言われて、跡地を借りることにしました」(馬場さん)
リノベーション予算は、自己資金200万円と金融公庫から借りた550万円の合計750万円。
ベーカリーを立ち上げる際、道具を新品で揃えると、安くても1,500万〜2,000万円の初期費用がかかると言われているそうですが、馬場さんと飯塚さんは750万円の予算の中でできることを考えたといいます。
「予算のうち、内装に250万円、機材に300万円、残りは物件を取引するための費用、お店の運営費用として考えていたので、最初は、都内にある中古機材を扱う会社に行って相談をしました。
そこで建築士さんを紹介してもらったのですが、その方が過去につくっていたものと私たちが目指していたものが違っていて……。
それでその後、飯塚さんに相談しました。飯塚さんとは仲が良いですし、家が近くてすぐ相談できるので不安なくイメージが伝えられると思って。
飯塚さんがご自身で設計されたご自宅もとても素敵なので、どういうものをつくる方なのかわかっていた点も安心でした」(馬場さん)
「ご近所付き合いしている中で信頼関係があったのは仕事がしやすかった反面、プレッシャーもありました。
『ダサくない?って言われたらどうしよう』とか、『それちょっと違うんですけど』って言われた時に、家が近すぎて逆にプレッシャーがある(笑)」(飯塚さん)
「飯塚さんは少ない予算でできることを親身に考えてくださったので、こちらとしては本当に安心でしたよ!」(馬場さん)
内装に関する要望は?
「コンクリートと木、白い壁を使った、冷たいけれど暖かい雰囲気の内装にしたいとイメージを伝え、内装の細かい点は妻に任せ、飯塚さんと、飯塚さんの奥さんにも相談しながら進めました。
飯塚さんが用意してくださったイメージ写真から、好きなものをアンケート方式で選んでイメージを固めていったんです。
そうやって綿密に打ち合わせしながらつくってくださった店舗模型を見た時には、『かっこいいな、センスいいな』と思いました」(馬場さん)
「正直なところ、換気設備、電気配線などの目に見えない部分に多額の費用がかかってしまうので、売り場の内装は100万円くらいに収めたんです。
最初から売り場の内装にはそのくらいしか費用をかけられないだろうとわかっていたので、限られた予算のなかでできる内装を提案しました。
天井も壁も単に隠すのではなく、つくりこまないけれど整えられるような内装を考えたんです。
例えば、DIYでもよく使われる『有孔ボード』を壁として使っていたり……。100円ショップなどでも売っているフックを引っかければ、季節に合わせてディスプレイなどを付け替えることができますし、後からちょっとした棚を足すこともできます。
天井も格子をつけているのですが、ここに紐を引っかけると飾りを吊るすことできるんです。
専門的なことを言うと、店舗面積に比べて天井が高いので、そのスケールのバランスを考えて格子をつけました。天井を低くすると余計に圧迫感を感じてしまうし、格子がないと天井が高いと感じすぎてしまうんです」(飯塚さん)
他にも、リノベーション費用を抑えるため、塗装は馬場さんやご友人などで手がけたそうです。
売り場をつくる上で、特にこだわった点は?
収納スペースも、作業台もあるオリジナルのショーケース
「馬場さんから、パンを切って販売することがあると聞いたので、ショーケースはパンを並べる部分と、パンを切って作業する部分を考えて設計しました」(飯塚さん)
さらにショーケースの裏側は、パッケージ類などが収納できるように。
「棚の板は高さが変えられるようになっているんですよ。棚を増やしたいときは、ホームセンターで買ってきた板を足せばいいので、とても使いやすいです」(馬場さん)
「実はこのショーケース、3つに分割できるんです。たとえば厨房の機械を交換するときなど、何かあったときに大きなものが通れるよう、ビスを外してバラバラにして対応できるようにしています」(飯塚さん)
ショーケースの隙間にぴったり収まっている冷蔵庫も、飯塚さんのセレクト。この冷蔵庫の高さに合わせて、ショーケースの高さを決めたのだとか。
子どもたちが遊べるスペース
売り場の一角には、子連れ客がパンを買いやすいように子どもたちが遊べるスペースがありました。
「小学校の目の前という立地も手伝って、子連れのお客様が多いんです。その方たちも安心してお買い物ができるように、遊ぶスペースをつくりました」(馬場さん)
厨房と売り場を仕切る扉
厨房と売り場を分けられるよう、扉はスライド式に。
「MAU PAN」オープンから半年経ったお気持ちは?
「オープン当初、『美容室かと思った』とか、『オシャレすぎて入れなかった』、『看板がなかったから、パン屋だと分からなかった』と言われましたし、店に入ってくるなり、『ここパン屋なの?今度また来るわ』って買わずに帰る人もいました。でも今では、おかげさまで色々な方にご利用いただいているので、ありがたいです」(馬場さん)
「最初は、東村山という土地に『MAU PAN』の店舗デザインが合うだろうか?と考えましたが、でも、結果的に他のお店との差別化になって良かったと思います」(飯塚さん)
建築士さんにリノベーションを依頼する際、どのようなことに気をつけると良いでしょうか?
現在、飯塚さんはROOMIEで部屋にまつわる相談を受けていらっしゃいます。
一級建築士である飯塚さんに、私たちがリノベーションをお願いするときに気をつけた方がいいポイントを教えてもらいました。
「相性のいい設計士や建築士とどう出会うかが一番難しいですよね。
馬場さんと僕のような関係から仕事に繋がることは珍しいですが、依頼する前にその設計士や建築士が手がけた店や家などを実際に見た方がいいと思います。
それから、イメージを伝えるために建築士とたくさん対話することが大切です」(飯塚さん)
今後の展望は?
「壁をまだまだ使えていないので、今後はもっと活用したいです。
地域的なことをいうと、近隣にカフェ、レンタルスペースやイベントスペースなどができたらいいですね。そこでパンを提供できるので」(馬場さん)
美味しい食べ物がある場所には、たくさんの人が集まるはず。
馬場さんと飯塚さんが手がけた『MAU PAN』は、東村山エリアに新たな風を吹き込む拠点になるかもしれません。
「MAU PAN」
東京都東村山市栄町3-32-17 セザール麻美
西武多摩湖線・八坂駅から5分
Photographed by Kosumo Hashimoto
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