読者のみなさんは、クルマに乗っているとき、音楽を聴いているだろうか。私は大好きで、音楽がないとドライブの魅力が半減してしまうと思っている派。鉄道でも飛行機でも、移動中にいい音楽を聴くと、楽しくなってしまう。
昔はアンプとカセットテープのプレイヤーと箱型スピーカーを自分で配線したものだ。プロショップといわれる、カーオーディオの販売から取り付けまで行う専門業者のところで、大出力のパワーアンプを組み込むのは、夢のまた夢。憧れでした。
「音場づくりはかなりタフな仕事です」。先日、取材で出会ったハーマンインターナショナルジャパンの技術者は、そう教えてくれた。JBLをはじめ、マークレビンソンやAKG、そしてハーマンカードンは、みな、ここんちのブランドである。
「クルマは、あらゆるところからノイズが入ってくるうえ、聴くひとのポジションがかなりバラけているし、シートは音を吸収してしまういっぽう、ガラスは強く反射しますから」
それなのに、たとえばマークレビンソン搭載のレクサスNXのように、いい音と感心してしまうクルマもある。秘密は、反射や耳との位置関係などを配慮したうえで、いろいろな方向から音を発しつつ、それが同時に人間の耳に届くようにコントロールしているデジタルプロセッサーにあるらしい。
私は、新車に試乗するときは、かならず自分の音源(iPhone)をつなげて、いくつかの音源を聴いてみるようにしている。音のダイナミックレンジの広いベートベンに代表される交響曲、タイトなアンサンブルで曲が構成されているジャズ、クラブで聴くことを前提にミキシングされたような現代的な楽曲、といった具合に。
そうすると、クルマによって、音づくりにはかなり個性があることがわかる。悪いときは、メーカーが喧伝するほど再生能力が高くなかったり、音源を選んだり。いいときは、音の粒が立っているように聞こえて、車内が別の空間のように思えてくる。
さいきん私が気に入ったクルマはというと、いろいろ思いつく。トヨタ・ランドクルーザーとJBL(ライブ会場にいるような臨場感)、新型レンジローバーとメリディアン(低中音がしっかり出るようになってメリハリが効いている)、キャデラック・エスカレードとAKG(すばらしいのひとこと)。
キャデラックはなかでもとりわけ興味ぶかい。車種によって音づくりが変えてあるように思えるからだ(実際に意図的にそうしているらしい)。XT4という比較的若い市場向けのSUVのBOSEは、低音がしっかり出るうえに、さらに、低音のなかにニュアンスが感じられるほど。
同じキャデラックでも、CT5は、やはりBOSEだが、落ち着きあるセダンだからだろうか、中音のほうに重点が移された印象。ジャズっぽい音楽やギター、あるいは民族音楽なども魅力的に響く。
スピーカーシステムも多様。日産の「ノート オーラ」はスペース効率も考えて前席ヘッドレストレイントにスピーカーが埋め込んである。新型レンジローバーでは、駐車した場所でいい音を楽しめるシステムも選べる。
さらに最近では、USB端子のついたカーオーディオも出てきている。高品位(ロスレスともいったりする)の音源もコンピュータにダウンロードできるようになっているので、それをUSBに保存して車内で聴くと、スマートフォンよりはるかにいい音で聴けるというもの。日々進化しているのだ。
昨今は「アレクサ、音楽かけて」なんていう呼びかけで、車内でもストリーミングが使えるようになっているが、上記のように、「進化」のしかたはさまざま。そこも私の興味がつきない部分だ。
from 科学&テクノロジー - 最新 - Google ニュース https://ift.tt/1jT8iPd
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "車内で音楽を聴きますか? 私が「音づくり」で気に入ったクルマ - 朝日新聞デジタル"
Post a Comment