天気予報でおなじみの気象衛星「ひまわり8号」の観測画像から、オリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス」の大減光の原因に迫る成果を挙げたと、東京大の研究チームが31日、英科学誌ネイチャー・アストロノミーに発表した。
ベテルギウスは2019年末から20年初めごろにかけ、一時は観測史上最も暗くなるまで減光。超新星爆発の前触れとの見方もあったが、その後、明るさを取り戻した。
大減光の原因として、表面温度の低下と、ベテルギウスから放出されたガスからできるちりが増え、光が遮られる影響の双方が考えられている。ただ、ちりの量を知るには中間赤外線による継続的観測が必要で、直接的な証拠は得られていなかった。
東京大大学院博士課程の谷口大輔さんらは、ひまわり8号が撮影した地球の画像の周縁部に、恒星などが写り込むことがあるのに着目。ひまわり8号は、可視光や近赤外線のほか中間赤外線の観測装置も搭載しており、17年1月〜昨年6月の4年半、3日に2回ほどの割合でベテルギウスの観測データを得ることができた。
ベテルギウス周辺のちりの量と時間変化を調べ、明るさの変化と比較すると、大減光の際にちりが増えていることが判明。表面温度の低下と同じくらい、ちりの増加が減光に影響していると分かった。
谷口さんによると、気象衛星を応用するアイデアは、20年末、ツイッターに投稿されたひまわり8号の観測画像の地球の周りに月が写っているのを見つけたことがきっかけ。ベテルギウスのほか、月の観測などにも応用しているという。 【時事通信社】
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