スープカレーの名店で、レシピを教わってきた
筆者が子供のころ一番好きだったのは、田舎で食べる祖母のカレーでした。
そして大人になったいま、お気に入りなのがスープカレー。
札幌が発祥とされるスープカレーは、いわゆる普通のカレーとは違って、ルウがスープ状になっているのが特徴。
スパイスがきいたスープにゴロっとした野菜やお肉が入っていて、体の調子を整えたいときや、元気が足りないときなんかに食べると旨味と辛味が五臓六腑に染みわたります。
そんなスープカレーを自宅で簡単に作るコツを、東京・秋葉原の名店「スープカレー カムイ」の諸橋(もろはし)さんに聞いてきました。
まずは、食材を極限まで絞り込んだ、家庭でもお気軽に作れるスープカレーです。
【超・簡単スープカレー 材料(4人分)】
- 水 500cc
- サラダ油 大さじ2
- とり肉 300g
- 赤唐辛子 2本
- ニンニクすりおろし 小さじ2(もしくは市販のニンニクペースト)
- ショウガすりおろし 小さじ2(もしくは市販のショウガペースト)
- 固形ブイヨン 3g
- 市販の和風だし・顆粒タイプ 3g
- 玉ねぎ 小2個(もしくは市販の炒め玉ねぎペースト200g程度)
- ダイスカットトマト缶 1缶(300g)
- バター 50g(無塩・有塩タイプどちらでもお好みで)
- カレー粉 大さじ1
【作り方】
玉ねぎをみじん切りにする。唐辛子は手でちぎり、種を取っておく。
玉ねぎがなければ市販の炒め玉ねぎペーストでもOK。
鍋に油をひき、赤唐辛子、ニンニク、ショウガを入れて弱火で加熱。
焦がさないように注意。
香りが立ったら、玉ねぎを加えきつね色になるまで炒める。ここでは、市販の炒め玉ねぎペーストを使った。
とり肉、バター、トマト、カレー粉を加え、中火で炒めていきます。まずはとり肉。
バター 50gをくわえる。
ダイスカットトマト缶 1缶(300g)を投入。
カレー粉 大さじ1を入れて。
中火で炒めよう。
さらに水、固形ブイヨン、市販の和風だし・顆粒タイプを加え、15分ほど加熱していきましょう。
まずは固形ブイヨン 3g。
市販の和風だし(顆粒タイプ)を3g。
15分ほど煮込めば完成!
──「超・簡単スープカレー」のコツを教えてください。
諸橋さん:とにかく火加減ですね。スープカレーは、焦がさないことが大事です。焦がしてしまうとビターな味がはっきり出てしまうので気を付けてください。
──玉ねぎとか、思わず炒めすぎてしまいそうです。
諸橋さん:玉ねぎを焦がしてしまうくらいなら、みじん切りにしてラップをかけて電子レンジで温めてからスープに加えるほうがいいですね。そのくらい、焦がすのはご法度です。
──電子レンジなら簡単で良さそうです。
諸橋さん:もっと手軽にしたいなら、今回もご紹介した市販の炒め玉ねぎペーストを使ってしまうことですね。みじん切りにする手間も省けますし。
──他にポイントはありますか?
諸橋さん:水を加えたあと、アクはしっかり取ってください。シャープな味のスープカレーに仕上がります。
「超・簡単スープカレー」は極限までシンプルにした簡易版の作り方なのですが、もうちょっと凝ってみたい人向けにお店の味に近いレシピも教えてもらいました。
時間と手間はかかりますが、この方法でやれば本格的なスープカレーができあがります。スパイスもふんだんに使うので、ぜひ挑戦してみてください。
ちょっと難しい「本格的スープカレー」の作り方
【カムイ風 スープカレー 材料(8人分)】
- サラダ油 100cc
- 水 1500cc
- 塩 大さじ1
- ホールクミン 小さじ1
- ホールコリアンダー 小さじ1
- ホールシナモン 1本
- オニオンソテー 100g(もしくは玉ねぎ大1個みじん切り)
- ニンニクペースト 小さじ1
- ショウガペースト 小さじ1
- 有塩バター 30g
- パウダークミン 大さじ1と1/2(もしくは同量のカレー粉)
- パウダーコリアンダー 大さじ1と1/2(もしくは同量のカレー粉)
- パウダーシナモン 小さじ1(もしくは同量のカレー粉)
- チリペッパー 小さじ1(もしくは同量の七味)
- カレー粉 大さじ2
- ヨーグルト 100cc
- トマトピューレ 200cc(もしくはトマト大1個をミキサーにかけたもの)
- チャツネ 150g
- パウダーブイヨン(もしくは粒状中華だし 25g)
- とりもも肉 1kg
- 人参 2本
- ピーマン 4個
【作り方】
1:とりもも肉はひとくち大、人参は皮をむいて食べやすい大きさにカット。ピーマンは半分にカットしてタネを取る。チャツネは同量の水とともにミキサーにかける。
2:大きめの鍋に水と塩を入れ、沸騰したらとりもも肉と人参を入れる。中火でふたをして茹で、20分後、具は抜いて別皿に移しておく。
3:別の鍋にサラダ油をひき、ホールのクミン、コリアンダー、シナモンを入れ、弱火で熱して香りを出す。
4:3にオニオンソテー、ニンニク、ショウガ、バターを加えて炒める。
5:一度火を止めて4にパウダースパイス(パウダークミン、パウダーコリアンダー 、パウダーシナモン、チリペッパー、カレー粉)を加え、良くこねる。
6:弱火で炒め、スパイスの香りが出てきたら、ヨーグルト、チャツネ、ブイヨン、トマトピューレを加えよくまぜる。
7:6に2のスープを加え、20分中火で煮込んだのち、こす。
8:7にとりもも肉と人参を入れ、2時間ほどなじませる。
9:お皿に盛りつけるとき、ピーマンを素揚げしてそえる。
10:綺麗に盛り付けて完成!
──こちらを作るときのコツを教えてください。
諸橋さん:超・簡単スープカレーと同じく、やっぱり焦がさないことですね。あと、煮込むときに鍋にフタをするんですが、途中で開けちゃうとアクが一気に噴き出してしまうので、なるべくフタを開けないように。噴きこぼれそうなときは火加減を調整してからアクを取ってください。
──スープカレーにはバジルが入っているイメージが強いですが、入れたほうがいいですか?
諸橋さん:洋風のスープカレーに寄せたい場合など、ブイヨンを多めに使うスープカレーのレシピのときはバジルを入れたほうがより洋風っぽさが出ますね。ローズマリーとか、ハーブを入れる場合もあります。インド風にしてスパイシーさを楽しみたいときは、スパイスだけでも十分です。あと、バジルは変色しやすいので注意してください。
作った当日食べる分にはいいんですけど、翌日になると青ノリみたいな色になってしまい、笑うと「歯にノリが付いている」状態になるんですよ(笑)。
──それ以外に注意する点はありますか?
諸橋さん:テンパリングが大事です。スープカレーは、香りを味わう料理ですから。
──「テンパリング」って何ですか?
諸橋さん:テンパリングとは油でスパイスを炒めることです。デザート業界でテンパリングと言ったらチョコレートを伸ばす作業ですけど、カレー業界では油の中にスパイスを入れて炒めることを言います。
それによって香りが引き立ちます。今回の「本格スープカレー」のレシピ3のところですね。使うスパイスの種類が多いと「大きいものは先、焦げやすいのは後」とかあるんですけど、まずは弱火にしてスパイスを焦がさないことを意識してください。
──テンパリング、プロっぽい!(笑) スープカレーの魅力の1つはスパイスだと思いますが、そんな工夫もあったんですね。
諸橋さん:そうですね。スープカレーは普通のルウカレーよりも使うスパイスの量が多めで、小麦粉も使わないので、スパイシーさを感じやすいんです。
──なるほど……小麦粉使用の有無ですか。スープカレーとルウカレーの違い、今まであまり意識したことなかったです。
諸橋さん:札幌でルウカレーっていうと、家庭で作る固形のルウを使ったカレーなんですけど、スープカレーはまったく別ものですね。「今日はルウカレーね」って言われて「えー! スープカレーが良かった」みたいな。給食でもスープカレー、ルウカレーは別のメニューとして出てきます。
──そこまでハッキリ違う食べ物として認識されているんですね。
諸橋さん:スープカレーが出始めてから20年以上経ちますからね。1980年代後半くらいから始まって、2000年に広がって、2003年に札幌のスープカレー屋さんの数がラーメン屋さんを超えたって言われてます。スープカレー・ビッグバン(笑)。
▲スープカレー カムイの店内
──北海道人にとってスープカレーとは?
諸橋さん:いちおう、札幌民のソウルフードではあるんですけど、給食にも出るくらいなのでソウルフードってことすらあんまり意識していないかもしれない。ハンバーグや、そばと同じレベルになっているかも……。
──諸橋さんが「スープカレー カムイ」を始めたキッカケは?
諸橋さん:自分ができることがスープカレーしかなかったから(笑)。実は、以前はタウン誌の編集をやりながら、いずれは作家になりたいと思っていました。
でも、なかなか道のりが遠くてどうしようかなと迷っているときに、とりあえず自分のできることから始めようと動いたのが「東京に行ってスープカレーのお店を開く」だったんです。タウン誌の編集をやったあと、スープカレーのお店を取材した縁で北海道の有名店で修業させてもらった経験があったので。
──東京に行けば道がひらける、という感じですかね?
諸橋さん:そうですね。場所が秋葉原に近いということもあって、イラストレーターさんやクリエイターの方にもたくさん来ていただくようになって。それに刺激されてか、自分でも最近はまた小説を書いたりしています。お店を開いて10年経ちますが、作家になる夢にも一歩近づきました(笑)。
──なんと、もう開店して10年ですか。これまで継続できた秘訣は?
諸橋さん:なんだろう……あまり気負わずにやってきたから……かな? 僕、「スープカレー命!」っていうわけじゃないんですよ。
お客さんから「具材にタコ焼き入れて欲しい」ってリクエストあったら入れちゃうし、「スープカレーのつけ麺が食べたい」って言われたら作るし、「ドライカレーも食べたい」って言われたときもやりましたし。「あれ? スープはどこへ?」って感じでしたけど(笑)。肩の力を入れずにやってこられたのが、良かったのかなと思います。
──専門店なのにそこまでやっちゃうのはスゴイ。
諸橋さん:食べ方も自由です。よく「スープカレーってどう食べるんですか?」って言われるんですけど「フリーダム」って答えてます。そしたら、お皿に盛ったライスの上からスープをかけた方がいたんですが、見事にあふれてしまって……さすがにそれは逆でしょ! って言いました(笑)。
──これからやってみたいことは?
諸橋さん:去年、場所を移転して広くなったので、店内でイベントやライブ、朗読会や寸劇なんかやってみたいですね。
諸橋さんの作る、スパイスたっぷりのスープカレーを味わってみたい人はぜひカムイさんに行ってみてください。
カマンベールチーズやチキン、ポークを使ったレギュラーメニューから、イベント限定のコラボメニューまで、さまざまな味が楽しめますよ。
お店情報
スープカレー カムイ
住所:東京都千代田区神田須田町2-3-24 KT須田ビル 1F
電話番号:03-3258-5858
営業時間:平日・土曜日ランチ11:00~14:30(L.O.)ディナー17:00~20:30(L.O.)、日曜日・祝日・祭日11:00~20:30
定休日:火曜日(変更あり)
書いた人:星☆ヒロシ
夫婦で食べ歩きが趣味。夫は食べる専門で、妻は呑む専門。若いころは海外へも足を運んだが、最近は日本の良さを再認識し、旅をしながらその土地ならではのおいしいものを食べ歩く。
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April 06, 2020 at 06:00AM
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スープカレー専門店の中の人に「自宅で作れるスープカレー」の作り方を教わった - メシ通
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