Nintendo SwitchとPC向けに発売され、高い評価を得ている、Digixart開発によるアドベンチャーゲーム『Road 96』。
本作のプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One版が2022年6月16日に発売されたのを受けて、今回プレイステーション4版を先行してプレイする機会を得たので、その様子を交えつつ本作について紹介していきます。
とはいえ、基本的なゲーム内容はNintendo Switch版およびPC版と同じものなので、手元にあるゲームハードの都合でまだ本作を遊んだことがないユーザーに向けて、改めて魅力を伝えることが目的の記事となります。
『Road 96』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)あなたの選択にはつねに責任が付きまとう
本作のジャンルはアドベンチャー。アクションやキャラクターの育成よりも、物語を楽しむことに比重が置かれたジャンルのひとつ。その中でもとくに、決まった物語を追いかけるのではなく、主人公の選択によって物語が変化していくのが特徴です。
そんなアドベンチャーゲームの中で見ても本作は、選択に付きまとう責任、結果というものがとても重く、ひとつ対応を間違えたら命を落としてしまうことも。逆に、選択を間違えなければ、大きなピンチをスマートに切り抜けることもできます。
この“選択”というのは、目前の出来事への対処だけではなく、先々の展開に関わってくるものも存在します。
もちろんうまく立ち回れるように、状況に合わせて最適解であろう選択肢を選んでいくのもよいですが、主人公、あるいはプレイヤーの意思を反映した選択肢を選んでいくことで、物語に対して非常に高い没入感が得ることができるので、そういった遊びかたもおすすめです。
後述しますが、本作において主人公の死はゲームオーバーではありません。そんなシステムも相まって、そういった失敗すら自分が紡いできた物語だと思える、懐の深いゲームになっています。
主人公の目的は独裁国家“ペトリア”からの脱出
『Road 96』の主人公は独裁国家“ペトリア”に暮らす行方不明の若者。
プレイヤーは、そんなひとりの若者となり、この国の腐敗した政治を変えるため、あるいは逃れるために、ヒッチハイクやバス、タクシー、徒歩などの移動手段を用いて、国境を目指し、国外への脱出を図ります。
当然、その道は簡単なものではありません。政府を敵に回すこの旅で頼れるものは少なく、警察官ですら主人公のような若者たちの味方とは言えません。
また、資金を得る方法も多くはなく、十分な食事やまともな寝床を手にすることができず、体力の回復がうまくできない……なんていうことも。
しかし、辛いことだけではありません。旅の中で心を許し合えるような人物たちとの出会いが待っていることだってあります。逆に危険人物たちと出会ってしまうこともありますが……。
ちなみに、本作の目的を“国外への脱出”と言いましたが、じつはひとりの若者を国外へ導くことに成功したからと言って、そのままエンディングを迎えてゲームクリアー、というわけではありません。
さまざまなイベントを経て国境へとたどり着き、さらに国境越えを見事達成できることもあれば、志半ばで命を落としてしまうこともあるでしょう。
しかし、その後もゲームは続き、また新たな若者の視点で国境越えを目指す旅が描かれます。
何をもってゲームの進行度とするのか、その気付きも本作の醍醐味なので、それは実際にプレイして確認してみてください。
旅の中で出会う人々は心強い味方であり、同時に脅威でもある
旅の中で主人公は個性的な8人のキャラクターと出会うことになります。彼らの過去や目的は、それぞれが複雑に絡み合い、『Road 96』のゲームプレイを通して大きな物語を描いていきます。
また、彼らと関わる中で、旅に役立つ便利な能力を手に入れることも……? ここでは、そんなキャラクターたちを紹介していきます。
ゾーイ
主人公同様に国境を目指す家出少女。気さくな性格で主人公ともすぐに打ち解けます。
どうやら父親について何かしらの事情を抱えているようです。
ジョン
主人公に対して非常に親切にしてくれる、大柄なトラック運転手の男性。気さくで優しい性格をしていますが、何かしらの秘密を抱えている様子。
彼のために眠気覚ましドリンクを用意したり、恋のアドバイスをしてみたりと、イベントの内容がなかなかにユニーク。
ファニー
女性警察官。この旅の中で警察官と出会うというのは、往々にしてピンチです。国外逃亡は当然取り締まられ、捕まってしまえばその先の未来は……。
しかし、彼女に限って言えば、単なる敵というわけではなさそう。警察官としての職務を全うしようとはしていますが、政府に対して盲目的な人物ではないのかも?
アレックス
小型のパソコンを自在に操る天才少年。作ったゲームのテストプレイを頼まれたりも。
基本的に気さくで人当たりもよく、年の割にしっかりとした印象。
死別した両親について調べているようです。
スタンとミッチ
覆面を被った泥棒コンビ。強盗や暴力は容赦なく振るうものの、どこか根っからの悪人という感じはせず、微妙に憎めない二人組。
お金のための強盗とは別に、とある計画を進めているようですが……。
ソーニャ
ゲーム冒頭や、新しい主人公の物語へ切り替わるタイミングで行方不明者情報や、選挙の支持率が確認できる番組の司会をしている女性。わかりやすく“セレブ”といった雰囲気で、お金持ちで高飛車な性格をしている。
人を見下したところはあるものの、言葉にあまり悪意はなく、よくも悪くも自分の感情に素直な印象。
どうもストーカー被害に遭っているようですが、本人はあまり気にしていません。
ジャロッド
大抵の出会いかたで、まず全力で身構えることになる不審人物。漂う雰囲気からしてかなりダークで、実際話してみても全力でダーク。
純粋な悪人というよりは、心に傷を負った結果のようにも見えますが、果たして……?
生きてペトリアを脱出するために
ここまで、『Road 96』がどんなゲームなのか、どんな物語が描かれるのかを説明してきました。そして、主人公の目標である、ペトリアからの脱出が容易ではないことがわかってもらえたと思います。
実際のところ、ゲームとしての難易度がものすごく高いわけではありませんが、深く考えずに進めていけば、脱出が失敗してしまうこともままあります。
そこで、ここではペトリア脱出のために注意すべきポイントを3つご紹介します。もし、ゲームの進行に行き詰ってしまったときは参考にしてみてください。
1.危険そうなキャラとも向き合ってみる
地図の画面にも表示されている、個別に物語が描かれる8人の登場キャラクター。
ゾーイやジョンなどは、最初から主人公に対して好意的で、プレイヤーとしても好感を持ちやすいキャラクターだと思います。しかし、一方でジャロッドやスタンとミッチ、ソーニャなどは出会いかたによってはかなり第一印象が悪くなってしまうはず……(とくにジャロッド)。
しかし彼らも、過去や考えかたを深く知るうちに意外と好感の持てる部分が見えてきたりします。また、キャラクター紹介の部分で少し触れましたが、この8人のキャラクターの物語を進めていくことで、旅に役立つ能力が手に入ることも。
この能力は主人公が切り替わっても引き継がれるものなので、ペトリア脱出を目指す意味でも、ぜひ、ちょっと苦手なキャラクターとも向き合ってみてください。
2.お金はできるだけ多く持っておく
地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものでして、やっぱり独裁国家ペトリアにおいてもお金はあるに越したことはありません。宿や食事、交通手段など、お金があることで旅を楽にする選択肢をグッと増やすことができます。
とはいえ、残念ながら旅の最中にお金を稼ぐというのは難しく、お金の入手にはかなり運が絡んできます。逆に言えば運がいいと国境越えまでに使い切れない量のお金を手にすることも。そんなときは、国境の辺りにある岩を調べてみるのもいいかもしれません。
3.食事と睡眠はこまめに
前述したお金と少し被りますが、食事や睡眠をしっかりとって高い体力を維持しておくと、こちらも国境越えまでの道中で取れる選択肢がグッと増えます。さらに、こちらは国境越えの可否にも大きくかかわってくる要素なので、体力はできる限り高く保ってくことをお勧めします。
とくに、キャラクターとのイベントで手に入る能力が少ないゲーム序盤は、国境を超えるための準備としてできることが少なく、とにかく体力を高く維持しておくのがペトリア脱出の一番の近道になります。
また、体力を回復する方法として、睡眠や食事があるのですが、このふたつについてはお金がかかることもあるので、体力維持のためにもお金は多めに用意しておけると安心です。
長い旅の末に行きつく先は……
というわけで、『Road 96』の魅力や物語、システムの紹介をしてきました。総じてアドベンチャーゲームとしての純度がとても高く、このジャンルが好きな人にはぜひプレイしてもらいたい作品です。
作中で描かれる、偏向報道と正義を失った警察官たちにに守られた独裁的な政治。ゲームが進むにつれ少しずつ変動する支持率。
さまざまな過去や思想を持つキャラクターたち。
果たして独裁国家にとらわれた名もなき若人たちは、国境を越えて何を成すのでしょうか。
ぜひ実際にプレイしてその目で確かめてみてください。
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