PopIn AladdinからAladdin Xへ
シーリングライトとプロジェクタを融合させる「PopIn Aladdin」がクラウドファンディングに登場したのは、2017年の事だった。単にネット配信サービスが見られればいいといったものではなく、子供向けのアプリを充実させたり、時計や風景をプロジェクションしたりと、日常的にプロジェクタを使っていこうというコンセプトの製品である。
2022年6月には第2弾となる「popIn Aladdin 2 Plus」を発売し、同年12月にハードウェア事業を同じく中国のプロジェクタメーカーXGIMIに売却、以降社名をAladdin Xと変え、事業を継続している。
XGIMIと言えば、昨年9月に「HORIZON Ultra」をご紹介している。4K対応で2,300ルーメンというハイエンドプロジェクタだが、ポイントはRGB LEDに赤色レーザーを組み合わせた、「デュアルライトテクノロジー」がポイントだった。この技術の詳細は下記記事で開発者へ取材している。
今後、同社製品でもこの「デュアルライトテクノロジー」搭載機が出てくると見られていたが、その第2弾はXGIMIブランドではなく、Aladdin Xから登場した。これが今回ご紹介する超短焦点プロジェクタ「Aladdin Marca」である。
発売は昨年10月末で、公式サイトの価格は149,800円。概ねどこもこのぐらいの価格だが、執筆時点でAmazonでは7,500円 OFFのクーポンが配付されており、これが最安値かと思われる。
会社がAladdin Xに変わって初めての製品でもある。早速試してみよう。
扱いやすいシンプルなスタイル
一般に超短焦点型プロジェクタは、文教用として黒板の真上に常設してあったり、教卓の上において投影するデータプロジェクタが多い印象だ。AV機器としてはそれほど主流の方式ではないのは、積極的に超近距離で投写する理由が乏しいからだろう。
Aladdin Marcaは、いわゆる文教型プロジェクタよりはやや大型で、だいたい「まくら」ぐらいの大きさを想像して貰えればいいだろう。横幅427mm、奥行き263mm、高さ119mmで、重量は5.31kgとなっている。
ゴールドのフレームにベージュの布張りといった構造で、天面奥の凹みにレンズやセンサー等が配置されている。両脇はパンチンググリルになっており、放熱および音の出口となっている。
ディスプレイはDLPで、光源はデュアルライトテクノロジーの特徴であるLED + レーザーとなっている。ただ輝度としては「HORIZON Ultra」には及ばず、1,000ANSIに留まっている。また最大解像度もHDとなっている。
一方でダイナミックレンジに関してはHDR 10及びHLGに対応しており、推奨投影サイズは80インチから120インチと、かなり大きい。これだけ大きくても超短焦点なので、スクリーンから離れる必要がないため、光源輝度がそれほどなくてもそこそこ明るい、というコンセプトなのだろう。色域はDCI P3の82.48%をカバーする。
背面端子は、HDMI入力が2系統(うち1つはeARC対応)、USB 2.0が2つ、LAN端子、光デジタル出力、3.5mmアナログオーディオ出力という構成だ。別途ACアダプタが付属する。Wi-Fiにも対応し、ネットワーク機能としてはMiracast/DLNA/Airplayをサポートする。
スピーカーはHarman Kardon製で、8Wの中高域スピーカー2基、15Wのサブウーファ1基の2.1ch。Dolby Digital Plus/DTS-HD/DTS Studio Soundに対応する。またBluetoothモードに変更すれば、Bluetoothスピーカーとしても機能する。このあたりはPopIn Aladdinからの機能継続という事だろう。
リモコンは、PopIn Aladdin付属のものとほぼ同じ。PopIn Aladdinはシーリングライトを兼用するため、ライト用のボタンがあったが、Aladdin Marcaではその部分が変更可能なショートカットボタンになっている。底部のスイッチでフォーカスとボリュームの切替になっているのも同じだ。
期待どおりのはっきりした発色
実際の投写画像は、デュアルライトテクノロジー搭載とはいえ1,000 ANSIルーメンなので、それほどガーンと明るいわけではない。ただ赤方向の色域が広いので、深みのある赤が表現できる点にはメリットがある。
解像度がHDなのは、評価が分かれるところではないかと思われる。一般のポータブルプロジェクタの場合、プロジェクタの前に座って視聴するなら、頭の上から投影する必要がある。そうしないと自分の影が映るからだ。一方プロジェクタの後ろから視聴するなら、それなりにスクリーンから離れることになる。
一方超短焦点の場合、プロジェクタの後ろから視聴するのは間違いないのだが、スクリーンまでの距離は自由だ。離れて見てもいいし、近寄ってIMAX並みに目の前全部スクリーンみたいな見方もできる。ただ近寄るほど、解像感はよりはっきりわかってしまう。つまり近くで見るなら細かいところまで見えてしまうので、HD解像度ではちょっと物足りない感がある。一方2~3m離れて見るという場合は、HD解像度でも十分、という評価になるだろう。
今回はNetflixでアニメ「葬送のフリーレン」とオリジナル作品「ウィッチャー」を視聴したが、夜に暗くした部屋で見るぶんには発色も良く、一般のプロジェクタよりもかなり大きく投影できるので、80インチぐらいの大画面で楽しめた。音声のほうは、もう少し低音が出てほしいところではあるが、これは設置場所にもよるだろう。音量的には十分だ。
DTS Vietual:Xによるバーチャルサラウンドに対応するので、1点から音が出ているといった狭苦しい感じはしない。ただ上向きのスピーカーがないため、空間オーディオ的な広がりまでは期待できない。HDMI eARCや光デジタル出力はあるので、別途空間オーディオ対応サウンドバーと組み合わせるといいだろう。
プロジェクタ設定で気をつけたいのは、中国製プロジェクタは大抵デフォルトでフレーム補間がONになっており、アニメなどもヌルヌル動いて気持ちが悪い。画質モードのところで補完機能がオフに設定できる。このあたりは国民性というか、24Pコンテンツへのマインドの違いが現われる部分だ。
総論
プロジェクタを設置する場所がないということから、シーリングとプロジェクタを組み合わせるというアイデアが大いに受けたのが、PopIn Aladdinである。シリーズで累計20万台を出荷した(2022年7月時点)というから、家庭向けプロジェクタとしてはヒット商品と言ってもいい。のちにAnkerからも類似商品が出ている。
シーリングライト型の弱点としては、天井の設置位置が限られるので、うまく空いている壁に投影できるかは、部屋の構造によるところが大きい。また投影位置が下に下げられないので、どうしても視聴する際は目線よりも上を見上げる格好で視聴する事になる。
一方超短焦点は、プロジェクタの設置位置から10数センチの位置に投影映像の下辺が来るので、目線の位置と合致しやすい。またプロジェクタ自身が邪魔で視界を遮るということもないので、設置空間としては非常に省スペースである。
ただ投影面積が大きいのがウリなので、壁など大きな面積の空きが必要になる。これもやはり部屋の作りや家具の配置などに影響を受けるので、導入の際はどこに置いてどこに投写するのか、よく検討してほしい。
サイズ的にはポータブルプロジェクタの一種と考えられるが、一般的な400~500 ANSIルーメンよりはだいぶ明るい。ただせっかくのデュアルライトテクノロジー光源なので、2,000 ANSIルーメンぐらいの輝度はほしかったところだ。
価格的にはリーズナブルなので、小さいお子さんのいる家庭で設置条件がバッチリハマれば、かなり楽しめるだろう。
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