理論にあてはまらない存在が、新たな答えを編み出していく。
地球から約4万光年の距離に、謎の天体が発見されました。何が謎かっていうと、中性子星にしては巨大すぎ、ブラックホールにしては小さすぎて、それが何なのか専門家でも判定できずにいるのです。
「質量ギャップ」の中の天体
その天体の質量は太陽の2.09〜2.71倍と推定されてるんですが、これは大きさ的に「質量ギャップ」の範囲内にあたります。質量ギャップとは、中性子星として存在しうる最大質量(太陽の2.2〜2.5倍)と、今までに観測されたブラックホールの最小質量(太陽の5倍程度)の間、ということです。
中性子星は崩壊した恒星の核であり、直径20km程度なのに質量は太陽とあまり変わらず、非常に高密度になるとされています。中性子星として存在できる質量の上限が理論化されていて、それを超えるとブラックホールになると考えられているのですが、かといって「中性子星よりちょっと大きいブラックホール」の観測例がたくさんあるわけじゃありません。むしろブラックホールは、きわめて大きなもののほうがよく観測されていて、中には太陽の200億倍以上といったものもあります。
この謎の天体についての研究結果は、Scienceに掲載されています。
激重の中性子星or超軽いブラックホール
「(この天体が)中性子星ならば、知られている中でもっとも重いものとなり、超高密度な核物質の物理性質について学ぶ機会となりえます」と、この研究には参加していないトロント大学の宇宙物理学者・Maya Fishbach氏は言っています。
「もしブラックホールであれば、知られている中でもっとも軽量なものとなりえます。それは超新星爆発や、球状星団内での中性子星の合体といった動的相互作用への理解に影響を及ぼすかもしれません」
中性子星もブラックホールも、宇宙でもっとも極端な物理現象が起こる場面です。その起源や相互作用をよりよく理解することで、量子力学や銀河の進化など、あらゆるものの理解に役立つと考えられます。中性子星やブラックホールのあり方には、宇宙のもっとも根源的な疑問に対する答えが隠れている可能性が高いのです。
ふたつの中性子星が合体?
今回観測された天体は、矮小銀河内でふたつの星団の合体で形成されたとも言われる球状星団、Caldwell 73(NGC 1851)の中にあります。それは連星系の片割れで、もう片方は約800万km離れた位置で高速回転する中性子星、パルサーです。
研究チームはこの連星系を南アフリカにある電波望遠鏡「MeerKAT」で観測しました。連星系の合計の質量は太陽の3.887倍前後、そのうちパルサーでないほうの天体が最大2.71倍と推定されています。ちなみに2019年には、太陽の2.14倍の質量と推定される天体も観測されましたが、その天体は中性子星と考えられていました。
「この連星系の合計質量である3.887太陽質量は、パルサー(PSR J0514-4002E)の相方の質量が普通でないということも併せて、注目に値します」とFishbach氏。「連星系の中性子星として知られる中で、どんな星よりも重いのです」
研究チームは、このユニークな天体はふたつの中性子星の合体からできたと考えています。現段階ではこの天体の実態は分からなかったのですが、今後同じような天体の観測によって、中性子星やブラックホールの形成の様子がもっとわかっていくかもしれません。
from 科学&テクノロジー - 最新 - Google ニュース https://ift.tt/kX06OT9
via IFTTT
Bagikan Berita Ini

0 Response to "銀河の謎を解明するヒントになりそう。不思議な天体を発見 - GIZMODO JAPAN"
Post a Comment